新年に飾る『訶梨勒(かりろく)』を作りましょう

早いもので、今年も残すところ2週間となりました。
今回は、新年に飾る『訶梨勒(かりろく)』を作りましょう。

『訶梨勒(かりろく)』とは

『訶梨勒(かりろく)』とは?
茶道の席で、床柱に飾られているのを見たことがある方もいらっしゃると思います。

平安時代より『訶梨勒(かりろく)』の実(訶子)が万病に効くとされて重宝されていたことから、その実を袋に入れて飾ったのが『訶梨勒(かりろく)』の始まりと言われています。

室町時代には、『訶梨勒(かりろく)』の実(訶子)を形どったお香袋に、1年の月数である12種類の香木を入れ糸でつるしたお香を、新年や慶事の席に書院の柱飾りとして飾っていたそうです。

『訶梨勒(かりろく)』は、邪気を払い、魔よけや健康長寿を祈るための風習として、来たる新しい年をお迎えするために飾りますが、仏事の席でも飾ることができます。

お部屋のインテリアとしての『訶梨勒(かりろく)』

現代では、『訶梨勒(かりろく)』はお茶席や香道の席の飾りとしてだけではなく、玄関やお部屋のインテリアとしても注目されています。

袋の生地は着物に使われている金糸模様の生地を使うと、とても品のいい華やかな素敵な袋物ができあがります。

また袋の部分を吊るすための紐は、組み紐を使用します。

組み紐は、古来から巻物の結びとして、結婚式の花嫁の着付けに、着物の羽織の紐や、帯締め、帯の飾り結び、髪飾りやアクセサリー、またリボンの代わりに使われてきました。

何十種類もの、とてもきれいな色や太さの組み紐があるので、袋の生地と合わせて選ぶことで、印象が全く変わります。

生地と飾りひもを選ぶのも、楽しみのひとつですね。

『訶梨勒(かりろく)』の飾りひも結び

『訶梨勒(かりろく)』を吊るす紐は、約4mメートルくらいの1本の組み紐で結んでいきます。

日本の伝統工芸品の組み紐は、とても素晴らしい日本の文化のひとつです。

最近では、宮崎駿監督の代表的作品のひとつ『君の名は』の中で、髪飾りやブレスレットとして登場するため、世界中から組み紐に注目が集まり注文が殺到したそうです。

日本には、この組み紐を使った何種類・何十種類もの美しい飾り結びがあります。

組み紐は「縁を結ぶ」「人と人を結ぶ」「人と物を結ぶ」という願いが込められているといわれています。

今回は、願いが叶うようにとお守りなどに使われる『叶結び』、長寿の意味を込めた『菊結び』、天下取りの願いが込められた『国結び』、結びつきの象徴としての『総角結び』、実りの多い年になるようにと願いを込めた『稲穂結び』を使用しました。

その他、魔よけや無病息災の意味を込めた『梅結び』、一度結ぶとほどけないということで結婚式などで使われる『あわじ結び』などもよく目にします。

今回の訶梨勒(かりろく)を作るにあたり、日本の伝統工芸である組み紐の良さを改めて感じました。

『訶梨勒(かりろく)』は、室内を清め、邪気を払い、魔よけとして、新年をお迎えするにふさわしい飾りです。

お香の香りに癒され、気持ちも新たに来たる2023年が健康な一年でありますよう、良い年となりますようにとの願いを込めて飾りましょう。

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