23 Feb 2019
アロマセラピストの私が注目しているのは、アルツハイマー認知症になる前の症状として臭いが分からなくなるという現象がおこるということです。
香りの伝達経路
実は、認知症と臭いは深く関係しています。
香りを嗅ぐとその成分が鼻の奥の嗅細胞に付着→嗅細胞が興奮→電気的信号→嗅神経→大脳に伝わり→臭いとして認識
香りは、その成分が脳に伝わるのではなく、電気的信号として情報が脳に伝わる。この時間はわずか0.2秒以下と言われるくらい瞬時の判断です。
これが、アルツハイマー型認知症の症状が起る前の予兆として、臭いが分からなくなるという症状が起こると言われています。
そこで注目されているのが、嗅神経を刺激することによって脳が働きだし活性化するという研究です。
先日テレビ番組で、ドクターが「認知症予防にはワインがいい!」という内容を取り上げていました。
赤ワインにはポリフェノールが高いということで抗酸化作用があるので、飲みすぎない程度の赤ワインはいいとされていましたが、今回の内容はワインを飲むことではありませんでした。
ワインは、 産地、品種、製造方法、熟成の方法、熟成期間などにより味が変わります。そこでワインの香りをかいでどんな香りがするのかを分析することで、記憶をたどり、脳が活性化するというものでした。
香りと記憶に関しては、フランスの小説家マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の小説の中で、香りが記憶をよみがえらせたというエピソードがあり、 嗅覚が記憶をよみがえらせる効果を “プルースト効果”と呼んでいます。
ワインの香りを嗅ぐことで脳を活性化する!
それこそ、ワインでアロマテラピー効果です!
セラピストとして普段私たちが扱っている精油だけではなく、ワインをアロマテラピーとして扱うということに改めて感じ入ったことです。
認知症とアロマテラピーに関しては、鳥取大学が研究開発を行っていますが、
アロマテラピーの精油を使用しての認知症予防には、ローズマリー、レモン、ラベンダー、オレンジの精油が、海馬を一番刺激し認知症の予防を改善したとされています。
詳しくは、こちらを参照。
認知症とアロマセラピー 鳥取大学発ベンチャー株式会社ハイパーブレイン
嗅覚は疲労しやすいので、疲れてストレスがたまっても臭いを感じにくくなるほど敏感なので、自分の体調を知る基準にもなります。
認知症予防に取り入れたい5つの生活習慣
認知症の6割を占めると言われているのがアルツハイマー型認知症で、この原因としては生活習慣が影響するとも言われています。
予防のためにとりいれることができる生活習慣としては、以下の5つがあげられます。意識して普段から暮しに取り入れたいですね。
1.食習慣 野菜・果物(ビタミンC、E、βカロチン)をよく食べる
魚(DHA、EPA)をよく食べる。赤ワイン(ポリフェノール)を飲む
2.運動習慣 週3日以上の有酸素運動をする
3.対人接触 人とよくお付き合いをしている
4.知的行動習慣 文章を書く・読む、ゲームをする、博物館に行く など
5.睡眠習慣 30分未満の昼寝 起床後2時間以内に太陽の光を浴びる
高齢になると誰にでも起こりうる認知症。
高齢化が進む日本は世界一の認知症大国と言われており、2025年には65歳以上の認知症高齢者数と有病率は5人に1人になるとの推計もあります。内閣府「高齢化の状況」より引用
医療・看護の専門家による治療などの取り組みが行なわれていますが、私の周りでも認知症の症状があるといわれている人がいます。
しかし、これは他人ごとではなく高齢にともない起こりうることであり、最近問題になっている若年層認知症も増えつつあると言われる現代、私たち自身でも行える“認知症になりにくい暮らし”というのを考える必要があると私は思っています。
※アロマテラピーはフランス語。アロマセラピーは英語の表記。日本アロマ環境協会では、アロマテラピーを使用。