園芸家・絵本作家として自然に寄り添って生きたターシャテューダーの暮らしに思う

まもなく波瀾の年2019年が過ぎ去り、新しい年2020年(令和2年)迎えようとしています。
年末年始にかけてやってくるという今年一番の寒さに備え、我が家のハーブガーデンのハーブや花々達のお手入れをしながら、この時期になると必ず思い出すひとりの女性がいます。

数多くの書籍や絵本、挿絵を残している絵本作家・画家としては世界的に有名なターシャ・テューダー。

アメリカボストンで文化人の両親を持ち裕福な家庭に生まれたにもかかわらず、社交界ではなく山の奥深い30万坪の広大な土地に18世紀風の農家を立て移り住み、自然や動物を愛し、野菜やハーブなどの植物を育てていた彼女。

食べるものも着るものもすべて自然のものや手作りのものを大切に、自給自足の暮らしを約70年近く続け、2008年に92歳で亡くなった最もアメリカで愛されている絵本作家であり、園芸家としても有名な人です。

NHKのBSで「ターシャ・テューダーの四季の庭」という番組が放映されて以来、世界中に彼女の生き方に共感する人が増えていきました。

約30万坪の庭園に咲く四季折々の花とその手入れの秘密を解く写真集「ターシャ・テューダの世界―ニューイングランドの四季」と「ターシャ・テューダーのガーデン」にはとても美しい写真が載せられています。

ターシャは離婚後、広い畑に作物を植え、田園生活を楽しみながら生きてきました。
多くの花を植えて生活を楽しみ、絵本を書いて収入を得、自分の洋服も自分で縫い、しかも実用的だけでなく1800年代のクラシカルな素敵なドレススタイルです。

相棒のコギー犬と一緒に、雪ですっぽりうずもれる冬の季節以外は一日のほとんどをガーデンで過ごし、花の世話をしたり、絵を書いたりして過ごしていました。
ある感謝際の時、暖炉で息子や孫達のためにチキンを焼きながら彼女は言っています。

「急いではだめ、時が200年前に戻ったようにゆっくり一日時間をかけて焼かないとおいしくないんだよ」
「私が若い時は、棒にバケツを2つ下げて毎日水を組に行くのが大変だった。でもその後電気が発明されて、とても楽になった。
だから今も毎日電気を発明してくれたエジソンに感謝している」。

そして最後に、

「私にはもう残されている時間がないから、庭を自然に戻してあげようと思っている」
「今が私は一番幸せ。」

とても感慨深い言葉でした。
年を重ねても背筋はしゃんと伸び、彼女の顔立ちは、ある時はとても力強く美しく、きりりとしまり、ある時は童女のようにあどけなく、また優しさに包まれていました。

「幸せとは、心の持ち方だとだと思います。わたしは、ここのすべてに満足しています。家と庭、動物達、天候それにバーモント州」

ハーブや花々を育てながら心の声に耳を傾け、自然の中で四季を感じながらナチュラルに生きていきたいと日々思っている私は、ターシャ・テューダーの生き方に憧れはあるものの、なかなか彼女のような暮らしをおくることはできません。

だからこそ、そんなふうに言い切れるターシャ・テューダーの生き方に心惹かれてしまうのでしょう。
彼女のように「今が一番幸せ」と言える生き方をしたいと、心新たに思いました。

ニューイングランドの四季 ターシャ・テューダーの世界 [ ターシャ・テューダー ]
ターシャ・テューダーのガーデン [ トーヴァ・マーティン ]

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