24 May 2020
今回は、健康に役立つ「辛味をつけるスパイス」をご紹介します。
近頃ではスパイスという言葉もメジャーになり、店頭にはたくさんの種類のスパイスが並ぶようになりました。
私の周りでは、スパイスってどうやって選ぶのかわからないという声が多く聞かれるので、今回はたくさんあるスパイスの中から健康に役立つ「辛味をつけるスパイス」をご紹介します。
現代ではスパイスはお料理の香辛料として欠かせないものですが、歴史を遡ると、元々スパイスは薬として利用されてきました。
そのため、スパイス発祥の欧米では香辛料としてだけではなく、薬用効果にも高い関心を持っている人たちが多いようです。
スパイスの基本的な3つの働き
スパイスには大きく分けて基本的な3つの働きがあります。
1.香りをつける
2.辛味をつける
3.色をつける
お料理は、嗅覚、視覚、味覚の3つの働きがあってこそ美味しいと感じるものなんですね。
そのためには、スパイスは塩・コショーと同じく絶対に欠かせないものでもあります。
今回は暑さがやってくるこれからの季節には欠かせない、辛味をつけるためのスパイスをご紹介します。
辛味は食欲を増進させてくれ
辛味を持つスパイスの種類
「スパイス=辛い」というイメージからかスパイスは辛いと思われているのですが、実は辛味を持つものはそんなに多くはないのです。
唐辛子
辛味をつけるスパイスで一番に私たちが思いつくのが、唐辛子です。
唐辛子の辛味成分はカプサイシンで、舌にピリピリとした辛味が特徴。
日本人にとって唐辛子というと鷹の爪ですが、最近では海外から入ってきた唐辛子も含めて何十種類もの唐辛子があり、現在も増え続けています。
では、どんな唐辛子があるのでしょう?
①ドラゴン・ブレス・チリ……現時点で世界で一番辛いとギネスで認定されている。「ドラゴンの息」というすごい名前
②キャロライナ・リーパー……ドラゴン・ブレス・チリが発見される2017年までは、世界1位に登録されていた。「死神」と言う名前
③コモド・ドラゴン・ペッパー……日本でなかなか手に入らない。イギリスのスーパーで販売されている
④トリニダード・モルガ・スコーピオン……「赤い悪魔」と呼ばれている
⑤ブートジョロキア……2007年のギネス世界1位
⑥ハバネロ……辛さの中にフルーティーな香りもある。ハバネロで激辛スパイスに日がついた。
⑦スコッチ・ボネット……カリブ海中心に栽培されている。辛さの中にフルーティーな甘味がある
⑧バード・アイ……我が家では長野県にある八幡屋礒五郎の「バード・アイ」を使用していますが結構人気の唐辛子
カレーに加えると少々痛い感じの辛さが際立ちます。辛いもの好きな人たちには人気です。
⑨カイエンヌペッパー……タイ料理などにはかかせない。カレーにも加えることで辛さが増します。
⑩ハラペーニョ……メキシコ産のこの唐辛子は誰もが知っているメジャーなもの
この後に沖縄で有名な島とうがらし、ブリッキーヌ、鷹の爪、タバスコと続きます。
私たち日本人はピリ辛が大好きと言われますが、いまや鷹の爪はそんなに辛い唐辛子ではなくなってしまいましたね。
でも鷹の爪は和食にも洋食にも中華料理など、どんなお料理にもよく合うので、とても使いやすい唐辛子です。
我が家でも鷹の爪は栽培しており、とても重宝しています。
最近ではハーブティーやージュース、コーヒー、ココアなどにブレンドされたものもあります。
種類により辛味の度合いもかなり違うので、ドライタイプ、パウダー、液体タイプなどお料理に合わせて選びましょう。
ちなみに柚子胡椒は、胡椒と名前が付きますがペッパーではなく、青唐辛子で作られています。
唐辛子は、血行促進、冷え性改善、塩分や老廃物の排出・夏バテ防止におすすめです。
また、お料理以外にもいろいろな効能があります。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
胡椒
胡椒の辛味成分はピペリン芳香で、ピリッとした刺激的な辛味が特徴。
胡椒は、料理の下ごしらえに、料理の段階で、食卓でと、ひとつの料理に3度登場することから「スパイスの王様」と呼ばれています。
食欲増進(冷え性改善)・血行促進・塩分排出・代謝を高める・抗酸化作用・防虫などの効果に期待されます。
胡椒はホワイトペッパー(白こしょう)、ブラックペッパー(黒こしょう)、グリーンペッパーの3種類あります。ホワイトペッパーは、白い色で、マイルドな香りと辛い辛味が特徴で、オムレツやクリームシチュー、白身さかなのムニエルなど料理の風味や色を変えずに辛味をつけたい淡白なお料理に合います。
また、ピリッと辛味の効いたラーメンやパスタは美味しいですね。
ブラップペッパーは、野性的な香りと辛味が特徴で、ステーキやカルボナーラなど味の鯉料理や臭いの強い素材の下ごしらえに合います。
またポテト料理やサラダのドレッシングなどにもおすすめです。
グリーンペッパーは、未熟果(緑色)を摘み取って機械乾燥させ、塩漬けにしたりスープのトッピングに使います。
また、日本人が好きなケチヤップ、ソース、カレー粉の調味料にもなります。
ちなみにピンクペッパーというのがあります。こちらは名前にペッパーとついていますが、うるし科のコショウボクという植物の果実を乾燥させたもので、胡椒とは別物で辛味はありません。
色がきれいなのでお料理や菓子、アイスクリームなどの飾り付けに使われます。
ショウガ
ショウガの辛味成分は、ジンゲロール・ショウガロールなどの爽やかな香りと辛味が特徴。
肉料理や魚料理はもちろん、菓子類、ドリンク、ソースなどのどんなものにも幅広く利用されます。
刻んだり、すりおろしたり、乾燥させてパウダーにしたり、また日本では甘酢につけて焼き魚のつけあわせにしたり、お寿司のガリにしたり、
アジのたたきなどの薬味としてもよく使用されます。
日本料理にとっては、まさに万能スパイスのひとつです。
またショウガの爽やかな辛味は、暑さで食欲のない時期でも素麺やうどんの薬味にすることで食することができる、魔法のようなスパイスです。
ショウガは、抗炎症作用・血行促進作用(冷え性改善)・殺菌作用・健胃整腸作用などがあります。
ワサビ
ワサビの辛味成分は、主にアリルイソチアシオネートでツーンと鼻に抜けるような辛味と甘い芳香が特徴。
ワサビはすりおろすことで、細胞が壊れ辛味が増します。
新鮮な採れたてのワサビは醤油出しをかけてワサビそのものだけを食べてもとても美味しく、ご飯のお供にできるくらいです。
刺身、お寿司、蕎麦などの薬味として、またソースやドレッシングにも幅広く利用されています。
私たちが刺身の薬味としてワサビを食してきたのも、ワサビの成分のアリルイソチアシオネートに抗菌・殺菌作用があり、大腸菌やサルモネラ菌など食中毒を防止したり、食材が痛むのを防ぐということを故人たちが知っていたということですね。
最近では、アリルイソチアシオネートのもつ抗菌作用を利用して、ワサビのスプレーやお弁当の抗菌シート、エアコンの抗菌シートなどにも使われています。
また消臭作用・抗酸化作用・防虫作用や、食欲増進効果もあります。
食欲のない時に、ワサビの辛味と香りを効かせてサラサラと食べる冷たいお茶漬けは、夏に欠かせませんね。
スパイスの辛味は食材の成分により様々な特徴がありますが、美味しいだけではなく、そのほとんどに血行促進、冷え性改善、健胃作用、食欲増進作用、抗菌作用などが期待されます。
これからの季節、免疫力を上げ、元気に暑さを乗り切るためにも、健康に役立つ「辛味をつけるスパイス」は大変おすすめです。
唐辛子の舌に感じるピリリとした辛味、胡椒のピリッとした刺激的な辛味、ショウガの爽やかな辛味の刺激と香り、ワサビのツーンと鼻に抜けるような辛味などを上手にお料理に取り入れましょう。
よく「スパイスは人生そのもの」とも言われるように、お料理にも暮らしにもスパイスは欠かせません。
甘い、しょっぱい、酸っぱい、苦いだけではなく、辛味もあるからこそ、お料理も人生も豊かなのではないでしょうか。